業者選び

価格差が出たらオカシイ業種

世の中に様々な仕事が存在するわけですが、大抵の業種においては、「競争」が生じます。

飲食店であればメニューの味やお店のインテリア・雰囲気、自動車業界であれば車種の個性と乗り手の好み、そして住宅であれば工法や材料。

それぞれが得意の材料や技術、センスを活かして自社商品・サービスの魅力を向上させて差別化している中で、実際には差別化が難しい業種というのが存在します。

それが、塗装業界なのです。

業者が仲が悪いと、お客さんが迷子に

競争をすることにほとんど意味がないとも言える、塗装業界。

塗料の種類にも、職人に求められる技術にも、そして対象とする建築物にも、それほど大きな差が生じない業種。

本来であれば、地域に1社あって周辺住宅の塗装を請け負い、地域間で事業者が交わったり闘ったりすることのない分野だったはずです。

そう、かつての塗装屋さんは、お互いに連携し合い、それぞれがテリトリーを持ち、地域の住宅塗装の専門家として、その分野では地元の人々に一目置かれるプロフェッショナルであったわけです。

ところが、今では、テリトリーを超え、仲間割れし、自社がより多く受注するためにと価格競争を始め、ネットの世界になるとポータルサイトが台頭し、結果的には仕事を取った・取られたの世界に。

こうした価格競争、またそれが高じて生じた価格破壊は、顧客に対して「何を選ぶか」「塗装屋に求めるべきものは本来、何なのか」ということを分かりにくくさせています。

同じお店が並ばないのと同様に

例えば、コンビニチェーンのようなケースを考えてみると、同じコンビニが数メートル以内に2件以上存在することは稀(まれ)です。

同じコンビニですから、同じ仕様、同じ商品、同じ価格で販売されているので、競争する意味もありません。

しかし、異なるコンビニとして、フードメニューや商品ラインナップコンセプトで異なるなら、近距離でも競争になる場合があり、それが小売業というものです。

しかし、塗装業社というのは、冒頭で述べた通り、本来は個体差のない事業種でした。

それぞれ散らばって存在しており、どちらにお願いしても同じ実力で同じ結果が得られる、という分野だったのです。

ところが、誰かが価格競争を始めました。腕の悪さをカバーしてか、会社を大きくしたいという欲に駆られてか、より多くの仕事をゲットするために、価格競争を始めてしまったわけです。

当然の結果として、サービスの質は下がりました。むしろ、悪徳事業者が増える結果となり、ユーザーは一層惑わされるようになりました。

消えゆく腕の良い職人たち

こうした状況を憂いたところで、残念ながら、業界の文化を戻したり変えたりすることはできません。現代社会の価格競争や同業者競争の波に飲まれるしかないと、多くの塗装屋が諦めてしまいます。

その結果、腕の良い職人さんたちが消えていきます。本物が居なくなっていきます。とても残念です。

希望としては、ユーザーの皆さんが価格競争に惑わされることなく、本来あるべき「職人業」の本質を理解して、後悔のない決定をスムーズに下せるように意識改革するようにと訴えるばかりです。

塗装業と真摯に向き合ってきた一職人としての呟きです。

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