塗装って、きちんとした資格を持っている職人であればことさら、「ズル」というのはできないものなんです。
汚れ落とし、下塗り、上塗りなど、基本的な工程が決まっている以上、コスト削減とかしようにも、できるところがない。
むしろ、営業費でコストアップ、天候不順でコストアップ、職人確保でコストアップと、コストアップネタの方が多いくらい。
そんな中で、気軽な気持ちでできてしまいそうな一つの「ズル」というのが存在します。
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塗料を使い回す
ほとんどの現場では塗料が残ります。こうしたものは、将来の同じ現場の需要に応じて、決して捨てずに取っておくもの。
では、他の現場で、同じような色の住宅塗装案件が出た場合、どうなるでしょうか。前の現場で余った塗料を使い回ししたくなりますよね?
しかし、使い回すということは、原液状態で取っているのか、水分が入ってしまっていないか、他の塗料との混合になっていないか、特に機能性素材を混入させていないか、など心配のタネがあるはず。
施主側としては、新品の塗料できちんと自宅を塗って仕上げてほしいものですし、実際のところ、塗料の使い回しによってその部分の質が悪くなるということも、絶対に生じないとは言えません。
塗料に出荷証明がつく?
こうした事態を避けるためには、使用する塗料を未開封の状態で施主の現場に送られるように手配することです。
つまり、塗装屋が塗料を会社で開けて持ってくるのではなく、現場に届いた塗料をその場で開封して混合していくというわけです。
塗料が届く際に添付される「出荷証明」というのが、すなわち「途中で誰も塗料をいじっていませんよ」という証明になるわけです。
お客様のところに直接届くので、職人もその間にズルを行うことができませんし、それはあたかもお客様の方で「この塗料を使ってください」と言っているかのようです。
記載内容
多くの出荷証明書には、以下の内容が記載されています。
①物件名 ②施工会社名 ③請負会社名 ④製品名 ⑤規格容量 ⑥色相 ⑦出荷数量 ⑧出荷日悪徳業者が塗装の回数を減らしたり、塗料を必要以上に水で薄めて使用したりすることを防ぐのが、こうした出荷証明書を取れるようなフローを実現しておくことです。
どんな方法も「完璧」というものではありませんが、この方法は塗料について「ズル」をできなくするかなり有効な手段であると言えるでしょう。